中学生のころ好きだった人の話。
田舎だからちょっとやんちゃな人がモテる風潮があって。
派手な振る舞いをする少し悪ぶってる人ばかり目立ってたんだけど、その頃好きになった人は、そういうタイプの人じゃなかったの。
その彼の事「いいな」って思う人は多かったと思うけど「好き」って言ってる人はいなかったような気がする。
3年間同じクラスにはならなかった。
だからまともに話したことも無い。
野球部でレギュラー。
どうやら勉強もめちゃできるらしい。
っていう人伝の情報しか集まらないし、距離を詰めようという気さえ起きない片思い。
片思いというより「憧れの人」みたいな感覚かなぁ。
彼は結局、県で一番か二番目に優秀な高校に進学していった。
成人式で再会するまで、特に存在を意識することも無かった。
所詮その程度の気持ちではあったんだろうな。
成人式での再会
時はたち。
成人式会場で同級生たちとワイワイ話している時だった。
一緒に話していた野球部の男の子が、私の後ろ側に向かってさけんだ。
「おい、○○!」
すごくドキっとした。
そう、あの片思い(?)相手の男の子の名前だ。
残念ながら
「かっこよく成長したな~」
って人を見かけない、収穫ほぼ0成人式だったから(何目線で臨んでんだよ)
彼もまた「がっかり…」の一人だったらどうしようとか、本当失礼千万。
それでも湧き上がる興味には勝てず、振り返った先にいたその彼は
期待以上に素敵すぎた。
かっこよかった当時の面影をバッチリ残して、さらに素敵に成長していて本当にびっくり。
進学先も旧帝大。パーフェクト。
中学当時の自分の審美眼(?)を褒め称えてた、ひっそり。
あっさり話すチャンス到来!だけど…
話しかけられた彼は、当然こっちにやってくる。
目の前に…目の前にいる…!
実はぶっちゃけるとね、一緒に話してた野球部の友人が彼を呼んだのは
「私が彼を好きだった」
っていう思い出話を笑いながらしてた事が理由だったの。
からかい半分に本人呼びつけたっていうわけ。
色々気持ちが渋滞して、どう振る舞えばいいのか分からず完全にパニック。
おまけに、件の友人が
「こいつが言いたい事あるらしいよ~」
とか、本当いらん事放り込んでくるものだから、脳みそフル回転して言葉を模索。
出た言葉は
「ファンです!」 だった。
これを読んでみんながどう思うかは分からないけれど、我ながら、良いチョイスだったと思ってる。
好き。でもちょっと眩しすぎる。
「思いを伝えて、お付き合いをしたい」
なんて思う事も許されない気がした。
「きれいになった」「かわいくなった」とか褒められて少し有頂天になってたけど、全然釣り合う気がしない。
そんな相手に「好き」って言ったら構えられてしまいそうだし、せっかく話を聞いてくれているのに失礼なことも言いたくない。
「好きだった」って過去の話されたって「…で?」って感じだろうし。
だから「(今現在も)ファンだ」って、言葉が口をついて出た感じだった。
少し困惑されちゃったけど、友達が横で爆笑してるし、つられて笑ってくれた。
握手して写真一緒に撮る「ファン活動」にも付き合ってくれて、その場はお別れ。
というよりそれ以来会ってない。
連絡先を聞いたりもしなかったし。
彼の中の私は「ファンとか言ってた変な奴」というところかな?
私は彼と自分の間に、明確に線を引いていたと思う。
「これ以上は踏み込むつもりはない」
そう自分にも、彼にも示していたつもり。
線を引く、心を守る、思いを伝える
線を越えると、終わりがセットで付いてくるようで怖い。
だから線を引くことで、心を守る癖がついている。
好意の持ち方、伝え方。
ちゃんと線引きをして「好意」を伝える方法の最善を、私は今も模索してる。
「伝える必要が無い」
って思う人も多いと思う。
一理ある。私もそう思ってもいる。
「私の場合は」だけど、秘めると「妖しさ」が滲んでしまう。
押えきれない気持ちを「匂わせて」しまったり、自分の中で燻らせてしまったり。
そういう煮え切らない自分が好きじゃないから、表現してしまう事が圧倒的に多い。
相手がどう思うかはちょっと考えきれてないんだけど…(超迷惑)
受け取り手に恵まれているから成り立つ事
私のこの極めて自分勝手なコミュニケーションがうまくいっているのは、受け取る側の人たちに恵まれているから。
適当に放り投げた「好意」をキャッチして、程よく返球してくれる、素敵な人ばかりで毎日が幸せ。
この日記を一緒に書いてる4人の事もとても好き。
無責任に、自分勝手に大好きと伝えたい。
これからも、好きな人に、好きなだけ好きを伝え続けていこうと思う。
大丈夫。審美眼はあるから。
私の「好き」を見つける目に狂いはない。